老人性円背(えんぱい)
人は年齢を重ねると身体が衰えてきます。
そうした衰えは外見にも変化をもたらします。そのひとつが「曲がってしまった腰」です。
この状態を【老人性円背】(ろうじんせいえんぱい)と言うそうです。
私も最近、少し腰が曲がってきたように感じます。
背骨を支える腹筋と背筋の筋力の低下によって腰が曲がることもあります。
背骨を支えるには特に背筋の筋力が大事になります。
高齢者の腰が曲がる「老人性円背」について
年を重ねても、いつまでも美しい姿勢を保ちたいものですね。
猫背のまま高齢期を迎えると、身体機能の衰えから背中や腰の曲がりが進行し、円背(えんぱい)という状態になってしまいます。
これにより、体幹バランスや運動機能が低下してきます。
全ての方がいきなり円背になるわけではありません。
多くの場合、猫背が進行することで円背になります。
猫背は骨盤が後ろに倒れている状態で、脊柱が丸まり固まってしまっています。
そのため、円背を予防するためにはまず猫背の改善が必要となります。
普段の生活背景や体の使い方なども影響しますが、加齢に伴う筋力の低下が大きな原因と考えられています。
頚椎と腰椎は後ろ向きに、胸椎のみ前向きに倒れ、S字を描くかたちで全体のバランスを保っています。
脊柱は骨の形状から前に倒れやすく、後ろに倒れにくいという特徴を持ちます。
脊柱のうち胸椎のみは初めから前に倒れており、前に倒れている状態が強めに出ている姿勢が猫背です。
猫背からさらに重心が後方へと移り、加齢に伴う筋力の低下が引き金となって前向きにどんどん倒れていきます。
その状態で骨盤を後ろに倒してバランスを取り、脊柱全体が固まっている状態になります。
これの進行が円背につながっていきます。
円背になると、胸や肋骨が丸くなった状態で固まってしまいます。
背骨を反らす機能が弱くなると、酸素を十分に取り込めなくなります。
結果、呼吸が難しくなり、息苦しくなりやすい状態になります。
また、酸素は筋肉を動かすために必要不可欠なもので、車で言えばガソリンに当たります。
円背(えんぱい)は骨折や誤嚥のリスクにもなります
一般的に、円背とは脊柱が前に倒れた状態を指します。
脊柱のうち、特に胸の胸椎と呼ばれる部分が前に倒れることで背中が丸くなり、頭部は視界を保つために必然的にあごが上がる状態になります。
繰り返す首・肩・腰など各関節の痛み、身体の不調。
その原因は姿勢にあることがほとんどです。
勉強時、スマホ、デスクワークなどにより背中は丸まり猫背になっていきます。
猫背のまま過ごしていくと筋肉や関節、骨に負担がかかり様々な痛みの原因となります。
正しい姿勢を意識してみてもすぐに悪い姿勢に戻ってしまいます。
猫背のほとんどは日常での不良姿勢が原因です。
特にデスクワーク(座った状態でのお仕事)の方は椅子や机、パソコンの位置や高さ、角度といったちょっとしたことで姿勢が悪くなってしまうので細心の注意が必要です。
他にも下を向いての作業が多いお仕事やスマホ・ゲーム・本などを長時間見る方は偏った姿勢をとってしまうことが多く猫背に繋がることもしばしば・・・
特に近年ではスマホの普及率やゲーム時間の増加に伴い、若いうちから猫背に悩まされている人が多くいます。
中には小学生のうちから猫背なんて方も・・・
猫背の進行が円背に繋がる
全ての方がいきなり円背になるわけではありません。
多くの場合、猫背が進行することで円背になります。
猫背は骨盤が後ろに倒れている状態で、脊柱が丸まり固まってしまっています。
そのため、円背を予防するためにはまず猫背の改善が必要となり、それがそのまま介護予防にもつながります。
円背の原因は加齢に伴う筋力低下
普段の生活背景や体の使い方なども影響しますが、加齢に伴う筋力の低下が大きな原因と考えられています。頚椎と腰椎は後ろ向きに、胸椎のみ前向きに倒れ、S字を描くかたちで全体のバランスを保っています。
脊柱は骨の形状から前に倒れやすく、後ろに倒れにくいという特徴を持ちます。
脊柱のうち胸椎のみは初めから前に倒れており、前に倒れている状態が強めに出ている姿勢が猫背です。
猫背からさらに重心が後方へと移り、加齢に伴う筋力の低下が引き金となって前向きにどんどん倒れていきます。
その状態で骨盤を後ろに倒してバランスを取り、脊柱全体が固まっている状態になります。
これの進行が円背につながっていきます。
バランス能力の低下
円背の多くの方は、バランスを保つ能力が低下します。
円背になると体幹上半身の重心が変化し、そのバランスを取るために頭部が前方へ突出する姿勢制御をすることが多くなります。
この姿勢でバランスを取るためには、下半身にも常に緊張が入るようになってしまうのです。
すると全身の筋肉が本来の力を発揮できなくなり、筋肉が弱っていくことがわかっています。
筋肉が弱くなると姿勢を保持する力も弱くなり、結果としてバランス能力も低下していくと考えられているため、介護予防で円背を修正することは重要なことなのです。
呼吸が難しくなり、筋肉の働きが悪くなる
円背になると、胸や肋骨が丸くなった状態で固まってしまいます。
背骨を反らす機能が弱くなると、酸素を十分に取り込めなくなります。
結果、呼吸が難しくなり、息苦しくなりやすい状態になります。
また、酸素は筋肉を動かすために必要不可欠なもので、車で言えばガソリンに当たります。
ガソリンがない車が動かないように、呼吸が難しく体の中の酸素が少なくなれば筋肉の働きも悪くなってしまいます。
圧迫骨折のリスク増大
円背になると背骨が前に倒れる状態となります。
背骨が丸くなり続けると重みに耐えきれなくなり、背骨が潰れてしまいます。
歩くだけでなく、最悪前かがみになるだけで背骨が潰れてしまい、圧迫骨折につながりやすくなります。
いわゆる「いつの間にか骨折」と呼ばれるものです。
誤嚥(ごえん)リスクの増大
円背になると、人は自然とあごが上がります。
人は食べ物が通る食道と、空気が通る気管が喉にあり、普段は食べ物が気道に入らないようにコントロールしています。
しかし、あごが上がると気道が広がり、誤って気道に食べ物が転がり込んでしまいやすくなります。
これを誤嚥(ごえん)と呼びます。
誤嚥すると誤嚥性肺炎という危険な病気にもなりやすいため、介護予防の分野ではいかに誤嚥させないかが重要となります。
誤嚥性とは、普段はきちんと食べ物が食道に入っていくところを、気管のほうに入ってしまうもので、それで、むせたり、咳払いがおき、食べ物や唾液に含まれている細菌が無菌状態の肺に入り込み、炎症を起こして肺炎になってしまいます。
のど仏を意識的に動かすことで、筋力をアップし、のどを鍛えようというものです。
やり方は、ア・エ・イは高い音を、ウ・オは低い音で発音し、高音と低音を繰り返すことで、のど仏を上下させます。
そうすることにより、嚥下機能が高まっていきます。
円背の予防・対策
しっかりと体操をしていくことが重要となってきます。
猫背の状態から骨盤を含めた脊柱全体を体操で動かしていくことが大切となります。
特に重要となるのが、脊柱を支持してくれる「姿勢保持筋」をしっかりと使っていくことになります。
外出控えにより、運動しないと筋力・筋肉量が減っていきます。
例えば高齢者では2週間運動しないと筋肉の4分の1を失ってしまうといわれています。
この失ってしまった筋肉を戻すのには3倍以上の時間が必要です。
筋肉を衰えさせないためにも、日ごろから筋肉を鍛えることがとても重要だといえます。
歩く姿は運動ですから、インナーマッスルに加えてアウターマッスル(白筋)も必要になってきます。
大股で足を高く上げて、安定した歩行を実現するには、インナーマッスルにアウターマッスルの“力添え”も欠かせません。
老人姿勢では骨盤が後傾します。
これは骨盤の後ろを下へ引っ張るお尻(臀筋)とその下の太もも(ハムストリング)の筋肉が拘縮するからです。
その結果、骨盤の後方が下へ引っ張られて、骨盤が下に傾くのです。
骨盤が後傾すると背骨も後傾します。
背骨が後ろへ傾くと、仕方がないから頭を前に突き出すしかなくなります。
背中が前にカーブ、すなわち円背になってしまいます。
こうなると胸筋が縮んで(拘縮して)しまうことになります。
また骨盤が後傾すると、太ももは前を向くことになり、仕方がないので膝を曲げて歩くようになります。
いわゆるへっぴり腰というやつです。
以上のように老人姿勢は骨盤後傾、円背、膝曲げ歩行が特徴です。
拘縮した筋肉は大臀筋、ハムストリング、胸筋が挙げられます。
これらの筋肉にはストレッチが必要です。
拘縮筋の反対側が萎縮筋なので、腸腰筋(そけい部)、大腿四頭筋(太もも前部)、背筋の強化も合わせて行うと効果的といえます。